NY円相場、続落 1ドル=150円60〜70銭 パウエル議長の発言受け
【NQNニューヨーク=戸部実華】4日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続落し、前日比1円ちょうど円安・ドル高の1ドル=150円60〜70銭で取引を終えた。日銀が12月に追加利上げに動くとの観測が後退し、円相場の重荷となった。パウエル議長の発言を受け、相対的にみた米経済の強さが意識されたことも円売り・ドル買いにつながった。
日銀が年内の追加利上げを見送る可能性があるとの一部報道を受けて海外市場で進んだ円安・ドル高の流れを引き継いだ。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は4日午後、米景気について「世界の他の経済大国が羨望する」と話し、堅調な景気を背景に政策調整は慎重に進められるとの見方を示した。市場ではFRBによる12月の追加利下げの扉は閉ざさなかったとの受け止めがあったものの「米経済の強さが意識されたことはドル買いを誘った」(BKアセットマネジメントのキャシー・リーン氏)との声が聞かれた。
米株式市場ではダウ工業株30種平均が初めて4万5000ドル台に乗せ、主要3株価指数はそろって過去最高値を更新した。米株高を背景に、低リスク通貨とされる円に売りが出やすくなった面もあった。
もっとも、午前に発表された米経済指標を受けて円は下げ渋る場面もあった。11月のADP全米雇用リポートで非農業部門の雇用者数が市場予想ほどは伸びなかった。米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した11月の非製造業(サービス業)景況感指数は52.1と、10月(56.0)から低下。好不況の境目となる50を上回ったものの、市場予想(55.6)に届かなかった。米長期金利が低下し、日米金利差の拡大観測の後退による円買い・ドル売りも入った。
円の安値は151円23銭、高値は150円00銭だった。
円は対ユーロで続落し、前日比1円ちょうど円安・ユーロ高の1ユーロ=158円20〜30銭で取引を終えた。
ユーロは対ドルで横ばいとなり、前日と同じ1ユーロ=1.0505〜15ドルで取引を終えた。ISMサービス業景況感指数が市場予想を下回ったことや、米長期金利の低下を背景にユーロ買い・ドル売りが入った。もっとも、フランスの国民議会(下院)は4日、バルニエ内閣の不信任案を賛成多数で可決した。同国の政治を巡る混乱への懸念が高まり、ユーロ売りも出て相場は方向感を欠いた。
ユーロの高値は1.0544ドル、安値は1.0472ドルだった。
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