iPhone、日本が「世界最安」 円安で平均より2割安く
米アップルのスマートフォン「iPhone」の販売価格を世界34カ国・地域で比べたところ、日本が最も安いことがMM総研(東京・港)の調査でわかった。最新3機種の価格は世界平均より18~24%安かった。発売当初から設定価格が安めだったうえ、円安で割安感がさらに高まっている。
日本向けでは値上げの余地が大きいとみられ、国内で半数近いiPhoneユーザーの心配の種になりそうだ。
各国・地域のアップルのオンラインストアで表示される価格を、6月1日時点の円換算で算出した。2021年9月に発売した「iPhone13(128GB)」の場合、日本が9万8800円と唯一10万円以下で、世界平均より約2万7000円(21%)安かった。
安い国・地域の上位には香港、タイ、韓国、マレーシアなど東・東南アジア圏が並んだ。アップルが本社を置く米国も11万円台だった。英国、ドイツなど欧州は12万円台と平均前後が多い。
インド、トルコといった新興国では高い国が目立ち、最も高いブラジルでは20万7221円と日本の2.1倍だった。同様に高機能の「13ProMax(1TB)」は日本が19万4800円、廉価版「SE3(64GB)」は5万7800円といずれも最も安かった。
円安も日本の割安感につながった。iPhone13発売時の21年9月時点の為替レートで換算したところ、香港が9万6682円と日本より安くなった。日本は2位で、全体平均との差は15%に縮まった。当時は1ドル=110円台と、現在より20円以上円高だった。
iPhoneはグーグルの「アンドロイド」を搭載した他社のスマホより価格が高いケースが多い。米IDCの調査では、世界のスマホ出荷台数に占めるアップルの割合は2割弱だ。ただ、日本国内に限るとシェアは50%前後と、世界でも有数のiPhoneが人気の国と言える。
アップルの国内価格が国際的に低い理由について、MM総研は「デフレが慢性化し、他国に比べて値上げを進めにくかったのではないか」とみている。それでも国内向けの価格は年々上昇している。21年発売の13シリーズの価格は8万~19万円台と、10年発売の「iPhone4」に比べて最低価格で2倍、最高価格で3倍近い。
部材価格高騰や円安が進んでおり、MM総研は今秋発売が予想される最新モデルについて「13より最大2割高くなる可能性がある」とみている。アップルはノートパソコンでも6日の新製品発表に合わせ、現行機種を約17%値上げした。7月発売予定の最新機種も、最低価格が16万円台と前回発売時より約4割高く、iPhoneでも値上げが予想される。(岡西善治、伴正春)