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埼玉のラボたま、官民と空き家対策 AIで「予備軍」特定

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埼玉りそな銀行の子会社で地域課題の解決に取り組む地域デザインラボさいたま(さいたま市)は官民と連携し、人工知能(AI)を使った空き家の抑制、利活用の促進に取り組む。空き家は全国的に増加しているが、放置すると景観や治安が悪化する原因となる。活況を呈しているインバウンド(訪日外国人)の宿泊施設への転換など、有効活用策も探っていく。

AIを活用したデータ分析で空き家の発生を抑制する事業には、川島町や久喜市など県内8自治体、地理情報システムやAIを開発するマイクロベース(東京・千代田)など民間3社が参加する。自治体は水道使用量などのデータを提供し、分析システムに連携する。AIが学習した過去のデータなどに基づき、空き家になりそうな住宅と所有者を特定する。

空き家の「予備軍」を特定して終わりでなく、ラボたまは各市町村や埼玉りそな銀行と連携し、空き家を発生させない取り組みを徹底する。その一つがチラシやアンケートを通じた啓発だ。空き家を抱えるデメリット、実際に相続した人の体験談などを伝える。各自治体の事情を踏まえ、所有者らに提供する情報の内容を変えるという。

所有者を対象とした相談会やワークショップにもつなげる。以前から続けている取り組みで、23年に深谷市で実施した際は、空き家予備軍に対して1000通のアンケートも実施した。約280件の返送があり、30件以上の個別相談につながった。

国土交通省は、空き家活用の先行・優良事例の蓄積と全国への横展開を図ることを目的に「空き家対策モデル事業」を進めている。空き家の活用に関わる調査や工事にかかる費用を国が補助し、成果をモデルとして全国展開につなげる。24年度は162件の応募に対し、50件が選ばれた。ラボたまは23年度から2年連続で採択されており、24年はAIの取り組みを含め3件が採択された。

急増するアジア圏からのインバウンド需要を見込み、宿泊施設としての活用を促進する。ラボたまは23年、宿泊施設としてリノベーションした寄居町の空き家にインフルエンサーを招いた。周辺の観光スポットを回り、町の魅力を伝えてもらった。24年は空き家を活用した宿泊施設の情報を紹介するポータルサイトを構築し、情報発信を加速させる。移住・定住や関係人口創出にもつながる可能性がある。

総務省の住宅・土地統計調査によると、賃貸や売却用の住宅などを除いた県内の空き家の戸数は23年に13万8000戸(速報値)だった。18年の前回調査(12万4000戸)と比べて11.3%増えた。同省統計局の20年の国勢調査によると、埼玉県の65歳以上の単独世帯数は33.3万と全国5位の規模で、今後も空き家増加のリスクが高い。

地域デザインラボさいたまの担当者は「空き家は社会資本のロスであり、地域の衰退は地域金融機関の存続に関わる」と話した。親会社である埼玉りそな銀行とは、同行の顧客ネットワークの活用、空き家専用ローンの紹介などで協力していくという。

(浅野夏樹)

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