超深海でも微生物は元気 常識覆す生態系発見
マリアナ海溝で
世界で最も深い太平洋マリアナ海溝の水深1万900メートルにある海底の泥の中で、原始的な微生物が活発に活動し、乏しい栄養の環境に適応した生態系が存在していることを海洋研究開発機構などのチームが見つけ、英科学誌電子版に17日、発表した。
従来の「深海ほど生物の活動が低下する」という考えを覆す発見。海洋機構は「生命の起源を解明する鍵ともいわれる、極限環境の生物の理解につながる成果だ」としている。
チームは、超深海の水圧に耐えられる観測装置を開発。海溝最深部となるチャレンジャー海淵の海底の泥に電極を突き刺したり泥を採取したりして分析し、近くの水深約6千メートルにある深海平原の海底と比較した。
チャレンジャー海淵では、堆積する泥の中で酸素が多く分解され、深海平原の海底より2倍近く酸素が消費されていた。海淵の方が、微生物の餌になりやすい有機物の量も多く、原始的な古細菌や細菌などの微生物が生息する量も7倍近くに上った。
これらのことからチームは、チャレンジャー海淵に生息する微生物は、活発に活動していると判断。今後、ほかの海溝や海淵も調査する計画という。〔共同〕