商店街の活性化補助金は「廃止」 省庁版仕分け
政府は7日午前、各省庁が有識者を交えて自らの事業の無駄を洗い出す「各省版事業仕分け」を始めた。経済産業省による商店街活性化のための補助金について「事業の進捗や成果を把握できていない」として「廃止」の評価を下した。中小企業の資金繰り支援も「政策効果の検証が不十分」として「抜本的改善」と結論づけた。
同日は経産省の3事業と環境省の4事業を取り上げる予定で、結果は2013年度予算の概算要求に反映させる。
中心市街地活性化法に基づき商店街のにぎわい回復を目的とした経産省の補助事業について、評価者から「国が関与すべき事業とは思えない」などの厳しい指摘が相次いだ。牧野聖修経産副大臣は「ゼロベースで検討する」と大幅な見直しを進める意向を表明した。
リーマン・ショック後に制度を拡充した信用保証協会による融資を100%保証する緊急保証事業については、評価者から「リスクが完全になくなる貸し付けはモラルハザードにつながる」などの指摘があった。この結果、評価者6人が全員一致して「抜本的改善」を求めるとの評価を出した。経産省側は100%保証の対象を現在の全業種から経営が厳しい分野に限る方針を表明、事業は大幅に縮小する見通しとなった。
環境省では、アンモニアなどの自然冷媒を使った省エネ型冷蔵・冷凍庫の補助事業が「一部改善」と評価された。横光克彦副大臣は「大型冷蔵庫は一定の普及が進んでおり、補助対象から除外すべきだ」としたうえで、「財政措置と規制措置を組み合わせるなど抜本的見直しをすべきだ」と述べた。
各省版仕分けの対象は14府省庁で7日から21日までの期間に約1.2兆円にあたる約90事業。6人の有識者が予算の使い方や効果について疑問点などをただし、最終的に「現状通り」「一部改善」「抜本的改善」「廃止」のいずれかの結論を出す。
政府は昨年度から全5000事業の予算の無駄づかいを各省庁が自ら点検して書面で公開する「行政事業レビュー」に着手している。各省版事業仕分けはその一部を取り上げて議論をインターネットなどで公開することで、ムダ削減を強化する取り組みだ。消費増税を前に政府が「身を切る姿勢」を示す狙いもある。