ゴルフがうまいと投資もうまいワケ
筆者は趣味が高じてプロゴルファー向けのスポーツ・マッサージ院を自ら経営してきた。そこでつくづく感じているのが、プロゴルファー(特に「飛ばない」と言われるプロ)に投資のセンスが良い人が多いことだ。
ゴルフで大事なことはコースマネジメント。プロは飛距離というリターンとOBなどのゲーム破綻リスクを常に計算しつつプレーしている。一見無謀と思われる林越えのティーショットでも、打球の方向性がぶれた場合のボールのライ(位置)を想定している。同じ林越えにアマが挑んでは、それこそ無謀となる。
逆にパットがどうしても入らない日。明らかに自分に流れが来ない日にプロはジッと我慢。無理をしない。要は自分のキャパシティー(資産総額)を考えてのプレーが肝要だ。アマはキャパシティー以上のリスクを取りたがる。
例えば、金の世界でプロ三人衆の対談したときのこと。司会者が「そういうご自分の金投資法は?」と聞かれ、全員が「コツコツ積立」と答えた。何か裏ワザのデリバティブでもあるだろうと期待していたらしく、場には一種の落胆感が漂ったことを覚えている。
プロゴルファーに話を戻すと、彼らは常にリスクとリターンのバランスを考えつつベストのスコア(パフォーマンス)を狙っているわけだ。トーナメントは4日勝負。常にパー狙いだけでは順位が上がらない。調子の良い日は積極的にリスク取ってコースを攻めていく。
そこで大事なことはトーナメント前の練習ラウンドでコースの地形、風向き、芝目などの基礎情報を綿密に調べておくこと。キャディー(相談相手)の選択も重要だ。
更に、OBのようなテールリスク(危機的リスク)に遭遇したときに己をコントロールする術もプロは実戦を通して養っている。そこで萎縮して逃げ回るだけでは更に深みにはまることもある。
なお、コースの整備状況も大事。システムダウンでプレー中断ではどんなプロでもお手上げである。
豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。
1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリッヒ、NYでの豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく、独立系の立場からポジショントーク無しで、金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。
ブログは「豊島逸夫の手帖」http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/index.html
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