米兵器の機密情報流出か 中国からハッカー攻撃、米紙報道
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は27日、米国が保有するミサイル防衛(MD)など先進的な兵器技術に関する情報が中国からのハッカー攻撃により、流出などの危険にさらされたとする国防総省の秘密報告書の内容を報じた。
米国は中国のハッカー攻撃による軍事技術の流出や米産業界の知的財産権被害に懸念を深めており、オバマ大統領は6月上旬に開かれる米中首脳会談でもこの問題を取り上げる構えとみられる。
報告書は1月に国防長官の諮問機関である国防科学委員会がまとめ、公表したが、同紙は非公開とされた流出の疑いがある技術リストを入手したという。
流出の恐れは20以上の兵器技術に及び、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)や、高性能の地上発射型迎撃システム「戦域高高度防衛ミサイル」(THAAD)といった北朝鮮やイランによるミサイルの脅威への対応に使われる高度技術が含まれる。新型輸送機オスプレイや最新鋭ステルス戦闘機F35の情報も入っており、中国の兵器開発を加速し、米国の軍事的優位を弱める恐れがあるという。
同委員会は、中国がこうした兵器の設計情報を盗んだとの非難は避けているが、米軍や関連業界の幹部は、情報漏れの大半は米防衛産業や政府機関に対する「スパイ作戦」の一環だとしている。(ワシントン=共同)