TPPで日本に強く譲歩求める ホワイトハウス高官
【ワシントン=矢沢俊樹】米ホワイトハウスのフロマン大統領副補佐官(国際経済担当)は21日、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)への参加について、自動車と保険市場の開放が大前提になるとの認識を改めて強調し、日本側に強く譲歩を求めた。安倍政権の積極的な金融緩和路線と円安傾向には「世界経済の力強い成長が日米共通の利益だ」として一定の理解もにじませた。
フロマン氏は安倍晋三首相訪米に伴う電話による記者会見で語った。
日本の自動車市場を巡っては「安全基準や流通網の違いが非関税障壁となって米メーカーの参入を拒んでいる」という見方から、米議会では日本のTPP協議参加を容認するうえで自動車、保険への具体的な対応を最重視する考え方が強まっている。フロマン氏はこれを踏まえ「(議会などの)懸念を極めて真剣に考慮している」と強い調子で歩み寄りを促した。
安倍政権がコメを関税撤廃の例外扱いにするなど「聖域」を求める姿勢を示していることには「参加国首脳はすべて(の品目)をテーブルに乗せることで合意している」と説明。交渉入り前に例外を設けることを協議するのは困難だとする米国の立場を重ねて示した。
通貨政策では、先の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明に沿って「いかなる国も競争的な目的で為替を目標としないことに合意している」と述べた。
22日の日米首脳会談でも通貨政策を巡り日米でこうした理解を確認するとの見方を示唆したものとみられる。円安・ドル高傾向に関しては「コメントしない」としつつ、成長強化を目指す安倍政権の経済政策・アベノミクスを基本的に支持する考えを示した。
電話会見には米国家安全保障会議のラッセル・アジア上級部長が同席。尖閣諸島を巡る日中両国の対立について「エスカレートする事態を望む国などない」と強調した。首脳会談ではオバマ大統領が安倍氏から現状の分析を直接聞くと指摘し「緊張緩和へ外交的手段を使って事態を管理できるかどうかが大統領の関心だ」と語った。