カンボジア、最低賃金31%引き上げ 日系企業進出に影響も
カンボジアのフン・セン首相は21日、同国の労働者向け最低賃金を現行の月額61ドル(約5800円)から80ドルに引き上げることを決めた。賃金は約31%上昇する。5月末か6月初旬ごろに適用される見通し。日系企業のカンボジア進出に影響する可能性も出てきた。
先月中旬、同国東部スバイリエン州バベット地区で2万人規模の大規模ストライキが発生。同国政府と労働組合、工場経営者の3者間で最低賃金の引き上げを巡り、協議を続けていた。だが、労使間の溝が埋まらず、組合側は今月末のスト突入の構えを見せていた。
カンボジア政府はこれまで「2014年までは最低賃金を上げない」と公言してきたが、スト再発を避けるため前言を撤回したもよう。7月の同国総選挙をにらみ、労働者の反感を買いたくないとの本音もあった。ただ、労組が要求してきた月100ドルには達しておらず、労組側が納得するかどうかは不透明だ。
最低賃金引き上げは、進出企業の人件費コスト上昇に直結する。近年、中国やタイからカンボジアに生産拠点を移す日系企業が増加しており、影響は避けられない見通し。
労働集約的な縫製業のほか、最近はより高度な部品メーカーの進出も拡大。デンソーが7月に二輪車用発電機に使うセンサー部品の生産を始めるほか、日本精密が時計の外装部品を作る工場を新設する。昨年の日系企業の対カンボジア投資額は3億2774万ドルと前年比4倍に拡大した。(ハノイ=伊藤学)
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