「LIBORは民間制度」英中銀、銀行界の責任強調
【ロンドン=上杉素直】英中央銀行イングランド銀行は20日、国際的な基準金利であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の仕組みの改革をめざした詳しい経緯を発表した。米ニューヨーク連銀や英国銀行協会との2008年の通信を公開し、対応は適切だったと訴えた。声明で「LIBORは当時も今も民間の制度であり、金融規制に縛られない」とし、銀行界の責任を強調した。
LIBOR問題は英大手銀行バークレイズの05~09年の不正操作が今年6月末に発覚。タッカー英中銀副総裁が08年秋に申告金利の偽装を促すかのような電話をバークレイズに入れていたことも分かり、英中銀が非難にさらされている。
英中銀は20日、英議会の特別委員会の求めに応じて詳細な資料を公表した。資料にはキング総裁が08年5月、英国銀行協会がまとめた制度検証を「まったく不十分だ」と手書きで批判した内部文書が含まれた。こうした資料の公表には、政界などからの批判を意識し、英中銀が以前から制度改革に積極的だったと印象づける思惑もにじむ。
ニューヨーク連銀が08年6月に英中銀に示した透明性向上など6項目の改革案の扱いでは、英中銀が英国銀行協会に届けた経緯を改めて紹介。英中銀が権限の範囲内で最善の策をとったとの理解を求めた。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は17日の米議会証言で、英国が「改革案をほとんど採用しなかった」と不満を示した。
英中銀は20日の声明で「参加銀行による金利申告の不正の証拠をつかむのと、市場が緊張した際のLIBOR算出の方法に懸念を抱くのは違う」と強調。08年時点でニューヨーク連銀から英中銀に不正行為の存在は知らされていなかったと指摘した。連銀は13日に公表した資料で、08年4月にバークレイズ行員から不正行為の存在を告白されたと明かしている。
キング総裁は今週、各国・地域中銀に呼びかけ、9月上旬にLIBORの抜本改革をスイスで話し合うことにしている。