日本企業の対中直接投資47%減 1~3月、景気の行方を様子見
【北京=阿部哲也】日本企業が中国に対する直接投資を抑制する姿勢を強めている。中国商務省が17日発表した1~3月の日本からの対中投資の実行額は、前年同期比47.2%減の12億900万ドル(約1230億円)にとどまった。日中関係や中国景気の行方を様子見し、投資の実行を手控える動きが広がっているためだ。一方、同時期の韓国からの対中投資は2.6倍の16億2500万ドルに急増。日本からの投資額を上回った。
1~3月の全世界からの対中投資額は0.7%減の315億4900万ドルだった。日本企業などが強みを持つ製造業の投資額が11.7%減った。中国の消費拡大を狙った小売りなどサービス業の投資は20.6%増と好調だったが、製造業の落ち込み分を補えなかった。
日本からの対中投資は前年比で16%増えた12年まで一貫して拡大基調が続いていた。しかし12年9月に大規模反日デモが発生し、日中関係が悪化。人件費の高騰や当局の目が届かない「影の銀行」の膨張など不透明要因も増え、投資に慎重になる日本企業が増えた。
13年は日本からの投資が4.3%減と、2007年以来のマイナスだったが、足元は日本企業の投資の落ち込みが一段と鮮明になっている。
一方で投資攻勢を強めているのが韓国だ。韓国サムスン電子が内陸部の西安で半導体工場を建設しているほか、現代自動車も重慶に新工場を建てることを決めた。韓国の13年の投資額は30億ドルと日本(70億ドル)の半分以下にとどまっていたが、14年は1~3月だけで既に前年の半分を上回るペースで投資を拡大している。
今後についても日本企業の間では「東南アジアシフトを進める日本の本社サイドが特に対中投資を渋る傾向が強く、様子見にならざるを得ない」(電機大手の中国法人)との声は多い。ただ中国側も日本の中国離れを懸念し始めているもようで、訪中した河野洋平元衆院議長と会談した高虎城商務相は「中国政府は両国の企業間の交流と発展を積極的に支持する」と述べた。