アップル、最新OSにカーナビ機能 グーグル対抗
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルは11日、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)「iPhone(アイフォーン)」や多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」を動かす基本ソフト(OS)の最新版「iOS6」を発表した。従来採用していたグーグルなど競合他社の地図情報を独自システムに切り替え、音声ガイド機能も強化。カーナビゲーションも可能にする。同分野に注力するグーグルに対抗する狙いだ。
サンフランシスコ市で開いた開発者向けイベントで発表した。今年秋に投入予定の「iOS6」に活用する独自の地図情報には「フライオーバー」と呼ばれる地図や衛星写真を立体表示する機能も持たせた。
人工知能を使った音声ガイド機能「Siri(シリ)」も拡充した。画面を操作しなくても通話などができる「ハンズフリー」に加え、見なくても操作できる「アイズフリー」機能を提唱。トヨタ自動車など日米欧の大手自動車メーカーと組んで、ハンドルにシリを起動するボタンを組み込み、運転中でも安全にiPhoneを使えるようにする。シリは今年発売した新型「iPad」にも対応する。
iOS6の投入により、グーグルやマイクロソフトがスマホメーカーに提供する最新のOSに対抗。有力なアプリケーションソフトの開発メーカーを取り込んで、スマホ市場で優位を保ちたい考えだ。
アップルはノート型パソコン「マックブック」の全面刷新も発表した。上級機種の「マックブックプロ」(10万2800円から)に薄型の新モデルを投入。特に最上位モデルとして、ハイビジョン画質を上回る高精細「レティーナ(網膜)ディスプレー」を搭載した新機種(18万4800円)を発売した。
薄型の「マックブックエア」(8万4800円から)も刷新した。マック用の新OS「OSX(テン)マウンテンライオン」も7月に19.99ドル(日本では1700円)で発売する。
発表内容が事前予想の範囲内にとどまったことなどを受け、11日の米株式市場でアップル株は売られ、前日終値に比べて1.58%値下がりして通常取引を終えた。
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