米デルタ航空、世界最大手に 英ヴァージンに49%出資
【ニューヨーク=杉本貴司】米デルタ航空は11日、英ヴァージン・アトランティック航空に49%出資することで合意したと発表した。シンガポール航空が保有するヴァージン株を全株取得する。ヴァージンと大西洋路線で合弁会社を設立する。実質的にヴァージンを取り込むことで、米ユナイテッド航空を抜いて世界最大手に浮上する。
デルタによるヴァージン株の取得額は3億6000万ドル(約300億円)。ヴァージン創業者のリチャード・ブランソン氏が51%を継続保有する。ブランソン氏は「我々は独立の精神を維持するが、デルタとの協力関係に前進する」とし、ヴァージンの経営に一定の関与を続けることを示唆した。
両社は合弁会社を通じて米英間で1日最大31の往復便を運航する。今後、米国や欧州連合の認可を取得し、2013年末までの設立を目指す。
デルタは欧州ではエールフランス―KLMと提携しており、パリとアムステルダム(オランダ)にハブ空港を持つ。ヴァージンは大西洋路線では世界2位でヒースロー空港(ロンドン)にハブを持つ。デルタはアジアでのハブは成田空港としており、太平洋路線経由が主体。ヴァージンを通じ、ロンドン経由でのアジア展開にも力を入れる。
ヴァージンは豪州や米国で格安航空会社(LCC)も運営しており、デルタは同分野への本格進出も狙う。世界の航空大手ではすでに日本航空や全日本空輸などがLCC子会社を運営している。デルタが参入することで、既存の大手も巻き込んだ価格競争が加速する可能性もある。
デルタは08年に米ノースウエスト航空を買収して世界首位となったが、ユナイテッド航空と米コンチネンタル航空が経営統合したことで2位に後退。これまで日本航空への出資や米アメリカン航空の買収に関心を示していたがいずれも頓挫。新興のヴァージンを取り込んでユナイテッドに対抗する。
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