米財務省高官「欧州は財政出動必要」 G7で要請へ
【ワシントン=矢沢俊樹】米財務省高官は8日、英ロンドン郊外で10日に開幕する7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議を前に記者団と懇談した。同高官は景気低迷が続くユーロ圏の財政政策について「短期間でさらに対応する余地がある」と述べ、G7会議で欧州勢に緊急的な追加財政出動を求める考えを表明した。日本経済では「需要や成長を確認したい」と語り、金融政策運営を注視する意向を示した。
G7会議にはルー米財務長官が出席する。財務省高官は「G7各国が内需の成長刺激に向け、行動することが重大な課題だ」と説明。G7会議ではユーロ圏経済が主要議題になるとの見通しを示した。
欧州連合(EU)の最新見通しによると、2013年のユーロ圏の実質経済成長率はマイナス0.4%。特に南欧諸国は失業率が過去最悪の水準に上昇している。
同高官は「景気後退の長期化でユーロ圏各国の社会保障費が増え、世界経済の深刻な重荷になるのは避けるべきだ」と主張。フランスやスペインの財政健全化目標の一部延期を「歓迎すべき兆候だ」と評価し、さらに追加財政出動に踏み切るように求めた。
ユーロ圏の需要動向を左右するドイツについて「経常黒字は国内総生産の7%近い」「ドイツが需要を拡大すれば世界経済の活性化につながる」などと指摘。ユーロ圏の財政再建路線の一時棚上げに向け、強い指導力を発揮すべきだと語った。
ユーロ圏内の銀行監督や預金保険制度などを共通にする「銀行同盟」構想の具体化や、南欧諸国の中小企業向け融資金利の引き下げなどを求める考えも明らかにした。
日本に対しては「構造改革の詳細を聞きたい」と強調。日銀の積極的な金融緩和策を「注視する」と語った。同高官はG7会議で、国際的な租税回避を巡る監視強化の枠組み作りのため、外国の銀行口座情報の開示などを各国と協議する考えも示した。