汚染水採取、国産ロボで 原子炉建屋に初投入
東京電力は日本製の災害支援ロボットを福島第1原子力発電所の事故対応で使用することを決めた。千葉工業大学などが開発した「Quince(クインス)」で、今月中旬以降に放射線量が高い原子炉建屋に投入し、汚染水の採取や水位の計測に使う。同原発では米社製ロボットを使い建屋内の線量などを計測している。東電が国産の災害支援ロボットを使うのは初めて。
クインスは千葉工大や東北大学、特定非営利活動法人(NPO法人)の国際レスキューシステム研究機構が開発したロボットで、長さ約1.3メートル、幅は約50センチメートル。有線と無線を使い2キロメートル離れた場所からでも操縦できる。4本の無限軌道を上下させることにより、高さ40センチメートル程度の段差や急角度の斜面を乗り越えられるので、階段を昇降することができる。
東電はまず原子炉建屋内に1台を投入し、搭載したアームで汚染水を採取したり水位計で水位を測ったりする。建屋内の様子も撮影できる。線量が毎時約20シーベルトと高く作業員が立ち入れない場所でも数時間は活動できる。
千葉工大などは8日、クインスを公開。数日中に福島第1原発へ搬送することを明らかにした。東電は同原発の作業員が1週間ほど操縦を訓練してから使用する考えだ。
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