地震保険加入広がる 10年連続増、巨大地震を意識
地震や津波による家屋の損害に備える地震保険への加入が伸びている。損害保険料率算出機構は23日、2012年度の家庭向け火災保険の新規契約のうち、地震保険にも入る割合を示す付帯率が前の年度よりも2.8ポイント高い56.5%だったと発表した。12年度末の保有契約件数は1500万件を突破し、こ

の10年間で約9割増えた。
契約件数の増加は21年連続で、5月末時点で1520万件となった。付帯率の上昇は10年連続。03年の宮城県連続地震や十勝沖地震、04年の新潟県中越地震、11年の東日本大震災など大きな地震の直後に加入が伸びる傾向にある。
付帯率は全都道府県で上昇し、特に被災地の近県の伸びが大きかった。上昇幅の最大は福島の6.7ポイント。2位は栃木(5.0ポイント)、3位は茨城(4.9ポイント)だった。宮城の付帯率は83.5%となり昨年に続き全国で最も高かった。2位は高知の81.7%だった。
現 行 | 主 な 都道府県 | 改訂後 |
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1万6900円 | 東京、神奈川、千葉、愛知など | 2万200円 |
1万500円 | 大阪、埼玉 | 1万3600円 |
6500円 | 北海道、宮城、兵庫、京都など | 8400円 |
岡山、広島、滋賀、長野 | 6500円 | |
5000円 | 岩手、福島、群馬、福岡など |
家庭向けの地震保険は損保会社と政府が共同で運営する。地震保険単独では加入できず、火災保険の特約として入る仕組みだ。12年度は震災直後の11年度に比べ付帯率の上昇幅は小さくなったが、「地震や津波に備えようという意識は引き続き高まっている」(損害保険料率算出機構)。首都直下や南海トラフなど想定される巨大地震への関心も大きい。
保険料の負担は膨らむ。地震リスクの高まりを背景に、損保各社は来年7月に最大30%、全国平均で15.5%の保険料の引き上げを行う。
保険料や上げ幅は県ごとに異なり、東京は耐火性がある建物で保険金1000万円の場合、現行より3300円高い年2万200円になる。南海トラフの被害推計は織り込まれていないため、来夏以降にもう一段の値上げの可能性もある。
免震構造、耐震性能を備えた住宅は割引率が上がるため値下げになる場合も多い。防災対策が保険料を軽くする面もみられる。