中国「レアアースで駆け引きせず」 日中外相会談
午後に首相会談
【ハノイ=桃井裕理】前原誠司外相は29日午前、ハノイ市内のホテルで中国の楊潔チ外相と会談した。両外相は戦略的互恵関係の構築に向けて努力することで一致。沖縄県の尖閣諸島の領有権問題では、双方が自国の立場を主張した。前原外相は中国のレアアース(希土類)の輸出停滞に懸念を表明、楊外相は「駆け引きの材料にしない」と答えた。会談後、前原外相が記者団に明らかにした。
今回の外相会談は尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件後初めて。予定の30分を大幅に超え、1時間20分に及んだ。前原外相は菅直人首相と中国の温家宝首相との会談について「おそらくハノイで開かれる」と述べ、同日午後に開催するとの見通しを示した。
前原外相は東シナ海のガス田開発を巡る条約締結交渉の再開も要請。楊外相は「必要な環境を整えていきたい」と述べた。前原外相は中国側がガス田「白樺」(中国名・春暁)で掘削に向けた動きを見せていることについて詳しい説明を求めたが、楊外相は「これまで説明してきた通りだ」と述べるにとどめた。
レアアース問題については、前原外相が「中国への製品輸出にかかわる問題だ」と日本側の懸念を伝えたところ、楊外相は「環境保護、資源管理の問題である」と中国の立場に理解を求めた。北朝鮮の核開発問題を巡っては、6カ国協議の早期再開が必要との認識で一致した。前原外相が日中航空交渉や防衛交流の再開を求めたところ、楊外相は「真摯(しんし)に受けとめる」と応じた。
今回の会談で日中外相は関係改善の方向性を探り、11月に横浜で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせた胡錦濤国家主席の訪日への地ならしとしたい考えだ。