最低賃金、11都道府県で生活保護より低く
最低賃金で働く人の手取り収入が生活保護の受給額より低くなる「逆転現象」の解消が進んでいない。昨秋の最低賃金の引き上げで逆転地域は宮城など6都道府県に減ったが、最新の実績で計り直したところ京都など5府県で新たに逆転現象が起き、合計で11都道府県になった。政府は働く意欲をそぐ逆転現象の解消に向け、生活保護給付の縮小と最低賃金引き上げを急ぐ。
現在の最低賃金は全国平均の時給換算で749円。厚生労働省が22日午前、最低賃金について話し合う委員会を開き、最新の調査結果を示した。
逆転現象が新たに発生したのは青森、埼玉、千葉、京都、兵庫の5府県。生活保護の受給者が増え割安な住宅が不足した結果、多くの自治体で家賃分の給付が増えた。最低賃金で働く人の手取り収入が社会保険料の上昇で1人あたり1~2円減ったことも逆転現象拡大につながった。
最低賃金で働くより、生活保護の方が暮らしが楽になれば、勤労意欲が衰えかねない。政府は税金で賄っている生活保護給付のうち、食費などにあてる「生活扶助」を8月から引き下げる。8月上旬に決める2013年度の最低賃金も大幅に引き上げたい考え。
厚労省は同日、従業員30人未満の中小・零細企業の賃金上昇率が昨年6月からの1年間で0.8%だったと明らかにした。リーマン・ショック前に実施した08年調査以来の高水準。中小・零細企業の賃上げ動向は最低賃金引き上げ金額決定の参考データで、08年には16円の大幅上げが実現している。