沖縄返還の財政密約、米要求は6.5億ドル 外交文書
返還協定超える負担
外務省は18日午前、1972年の沖縄返還に関する日米交渉記録などの外交文書ファイル606冊を一般公開した。沖縄返還時の補償費や基地使用をめぐる生々しいやりとりが明らかになった。
69年10月の沖縄返還を巡る日米交渉で、米側が6億5千万ドルの財政負担を算出方法があいまいな一括方式で求めていたことが18日午前に公開された外交文書で分かった。これまでに日本の財政負担として沖縄返還協定に明記した「3億2千万ドル」を超える負担を日米が密約していたことが判明している。
69年10月22日付の下田武三駐米大使発の極秘電文によると、バーネット米国務次官補代理が同日、吉野文六駐米公使に、沖縄の米資産買い取りなど日本側負担額について「ケネディ財務長官とレアード国防長官が一括方式で合意し、東京に申し入れるよう指令した。(金額は)極秘の含みで6億5千万ドルだ」と伝えた。
吉野公使は「沖縄に値札をつけることになる。国会で内訳を説明するのに苦労する」と反対したが、バーネット氏は「議論を尽くした末に一括方式よりほかに手がないという結論だ」と押し切ったうえで「日本側が数字をどのように処理しても拒否しない。根拠を作り出すため助力してもよい」と付け加えた。
バーネット氏は1カ月後に佐藤栄作首相とニクソン大統領の首脳会談が控えていたことを踏まえて「今後の日米関係のあらゆる問題に沖縄の財政問題がつきまとう。日米国交を害する」と早期決着を促した。