賃金格差、5年ぶり拡大 東京と青森で15万円差
厚生労働省が11日発表した2011年の賃金統計調査(都道府県別速報)によると、残業代などを差し引いた基本給である所定内給与額(11年6月分)は平均で、最も高かった東京都(37万2900円)と最も低かった青森県(22万2200円)の格差が15万700円となった。格差は前回調査よりも9800円広がり、5年ぶりに拡大した。
所定内給与は税引き前の賃金から残業代を引いた基本給。都道府県の賃金格差は、06年(東京と青森)の15万3300円をピークに4年連続で前年よりも縮小してきたが、今回は大幅拡大に転じた。
東京や京都府など24都府県で前年水準を上回り、青森や大分県など23道府県では下回った。所定内給与額は、東京に次ぎ神奈川県や大阪府などの都市部で高かった一方、青森や沖縄県、山形県などで低くなった。08年のリーマン・ショック前の水準を回復したのは17都府県にとどまり、特に地方では厳しい賃金環境が続いている。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「地方経済は製造業がけん引している例が多く、円高などで企業業績が低迷すればさらに格差が広がる可能性もある」と指摘している。
調査は昨年7月に正社員など常用労働者を10人以上雇用する全国4万5818事業所を対象に実施した。