敦賀原発の活断層、再検証でも結論変わらず
原子力規制委員会の有識者会合は8日、敦賀原子力発電所2号機(福井県)の直下の断層を「活断層の可能性が高い」とした調査団による報告書案について、事業者の日本原子力発電と、調査には加わらなかった専門家から意見を聞いた。日本原電の反論を退けた一方で、専門家から異論は出ず、結論は変わらなかった。早ければ月内にも正式な報告書をまとめ、規制委に報告する。
このままだと、敦賀2号機は再稼働が困難になるだけでなく、廃炉の判断を迫られることになる。日本原電は会合終了後に「一方的かつ公平・公正さを欠いたものであり、容認できない」とのコメントを発表した。
8日の会合では、まず日本原電が新たな調査データをもとに報告書案に反論した。断層は2号機の直下を通っておらず、12万~13万年前以降に動いた形跡はないとして「活断層ではない」と改めて主張した。しかし、調査団は「今までの見解を変えるようなデータが出たとは思えない」(鈴木康弘名古屋大教授)と反論を受け入れなかった。
その後、地震関連の4学会が推薦した専門家ら7人(座長=石渡明日本地質学会長)が、調査団の見解が妥当かどうか議論した。「(用語を)もう少し分かりやすく修正すべきだ」(石渡会長)などの指摘が出たが、2号機直下を走る断層を活断層とした結論に大きな異論は出なかった。
近く有識者会合を再び開いて、報告書をまとめる方針。
敦賀原発の活断層を巡っては昨年12月、現地調査後に開いた1回目の有識者会合で調査団は活断層の可能性を大筋で認め、田中俊一委員長は「現時点で再稼働審査はできない」と述べた。その後、日本原電が公開質問状などで「到底受け入れられない」と反論したため、規制委は別の専門家からも意見を聞いて客観性を高めることにしていた。