大企業健保の負担増を議論 社保審介護保険部会
厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会介護保険部会は2日、都市部の高齢化対策や、大企業の健康保険組合の給付費負担を増やす「総報酬割」を議論した。厚労省は都市部高齢者向けの住宅整備を促すため、入居者が前に住んでいた自治体が介護費を負担する特例の適用拡大を2015年度から実施する方針。一方、総報酬割の導入は当面見送られる見通し。
都市部の高齢化対策は、厚労省が9月末に報告書をまとめた。前住所の自治体が介護費を負担する「住所地特例」を、現在は対象外のサービス付き高齢者向け住宅にも適用を広げ整備を促す方針。来年の通常国会に提出する介護保険法改正案に盛り込み、実施を目指す。
介護保険財政での総報酬割の導入は、健保組合や中小企業の多い全国健康保険協会(協会けんぽ)などが保険料収入から出す給付費負担を、加入者の所得に応じて配分するもの。現在は加入者数に応じた配分で負担に偏りがあるのを是正する狙いだが、2日の介護保険部会でも健保組合や経済団体などから反対意見が相次いだ。
政府が8月に閣議決定した社会保障制度改革のプログラム法案骨子は、医療での総報酬割の検討状況を踏まえて介護でも「必要な措置を講ずる」としている。来年提出の介護保険法改正案には盛り込まれない見通しだ。