戦略相、原発依存度の決定「できる限り8月中に」
意見公募9割が「ゼロ」
政府は22日午後、2030年の原子力発電への依存度などエネルギー政策に関する世論調査やパブリックコメント(意見公募)を検証する専門家の初会合を開いた。パブリックコメント約8万9000件のうち7000件程度を集計した結果、81%が「即時ゼロ」、8.6%が「段階的ゼロ」で原発ゼロシナリオを選ぶ声が計89.6%と約9割を占めたことなどが報告された。一方、専門家からは政策決定に向けた議論が足りないとの指摘や決定を任されることを懸念する声が出された。
政府は今後は専門家会合を数回を開き、将来的な原発比率を示した革新的エネルギー・環境戦略を決定するが、古川元久国家戦略相は会合後、記者団に対して「できる限り8月中をめどにやっていきたい」と繰り返した。
討論型世論調査では47%が原発ゼロシナリオを支持したほか、全国11会場で実施した意見聴取会でのアンケートでは0%が3割以上だったが、0%、15%、20~25%を選ばなかった「その他」が半数を超えた。また各メディアの世論調査では3~4割がゼロシナリオを支持した。
また、政府は各シナリオを選ぶにあたっての論点もまとめた。ゼロシナリオでは産業の空洞化が進むとの指摘のほか、廃炉事業の停滞、原発の立地地域への影響などの懸念を挙げた。20~25%シナリオでは原発の安全性の問題や使用済み核燃料の処理までの道筋が見えないことなどを指摘した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕