ニュートリノ 「光より速い」 相対性理論覆す測定結果
名古屋大など国際研究チーム
素粒子ニュートリノが飛ぶスピードは光より速い――。遠方から飛来するニュートリノを観測している名古屋大などの国際実験チームが23日、光より速いものはないとするアインシュタインの相対性理論の前提を覆すような測定結果を発表した。測定の正しさが証明されれば、現代物理学に根底から見直しを迫ることになる成果で、大きな反響を呼びそうだ。
名古屋大の小松雅宏准教授は「衝撃的な結果だが、実験チームとしてはデータの検証を尽くした上での数値だ。どういう解釈が可能なのか、理論研究者への問題提起となるだろう」としている。
チームは、欧州合同原子核研究所(スイス・フランス国境)の加速器で人工的につくったニュートリノを、約730キロ離れたイタリア中部のグランサッソ地下研究所の検出器に向けて発射。
両研究所の距離を精密に測った上で、衛星利用測位システム(GPS)を利用して両研究所の時計をナノ秒(ナノは10億分の1)の精度で合わせ、発射時と到着時を測定。3年間の実験で蓄積した約1万6千回のデータから速度を計算した。
その結果、秒速約30万キロの光であれば約2.4ミリ秒(ミリは千分の1)かかるところを、ニュートリノは1億分の6秒だけ早く到着していたことが判明。ニュートリノの速度は光より10万分の2速いとの結果になった。
チームによると、2007年に米国の同様の実験で似た結果が発表されたが、データの誤差が大きく注目されなかったという。〔共同〕