富士通研、スマホでパソコン画面を撮影してデータ交換
富士通研究所は2013年1月21日、パソコンのデスクトップ画面を「スマートフォン(スマホ)などで撮影するだけで、そのパソコンとファイルの送受信ができる技術を開発したと発表し、同日開催した記者説明会でデモンストレーションを公開した。
今回開発したシステムでは、例えば、スマートフォンで撮影した画像を目の前にあるパソコンに対して送信する、パソコンからパワーポイントの資料をスマートフォンに渡すといった使い方ができる。プロジェクタに投影したデスクトップ画面に対しても同様のことが可能なので、スマートフォンを投影した映像にかざしてスマートフォンに格納してあったパワーポイントの資料を送り込んだり、投影中のプレゼン資料をそれを見ている聴衆のスマートフォンに取り込んだりすることもできる。
今回の成果は、2012年6月に発表した映像に情報を埋め込む「映像媒介通信技術」を活用したもの。デスクトップの幾つかの箇所にゆっくりと映像の明度が変化する領域を設け、ここを使ってデータを送信する。ゆっくりとした明度の変化を認識しにくいという人の特性を利用した手法だ。
記者説明会で示したデモでは映像媒介通信技術を使って「1秒間に16ビットで、パソコンのIPアドレスの一部」を伝えることで、同じLAN上につながったパソコンとスマートフォンの間でデータをやり取りして見せた。このデータ交換はスマートフォンからFTPS(file transfer protocol over SSL/TLS)を使ってパソコンにアクセスし、ファイルを送受信することで実現しているという。また、パソコンからスマートフォンにデータを送る場合には、パソコン側で最も手前に表示しているウインドウのファイルを送るような仕組みになっていた。
2014年度の実用化を目指して今後、完成度を上げていくという。スペインのバルセロナで2013年2月25~29日に開催される「Mobile World Congress 2013」において富士通ブースでデモ展示を行う計画である。
(日経エレクトロニクス 中道理)
[Tech-On! 2013年1月21日掲載]
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