ひったくり全国1位返上へ 「魔法少女」がパトロール
2010年のひったくり件数が全国1位の千葉県。ひったくりが多い都道府県の常連だったが、ワースト1位は初めて。不名誉な記録を返上しようと県や自治体が対策に乗り出している。

昨年の千葉県のひったくり件数は2188件(千葉県警調べ)。1日平均6件も発生した。前年より若干減ったものの、34年連続で首位だった大阪府をも上回る。
危機感を持った千葉県は今年度の対策に「例年の数倍」(県環境生活部)となる7000万円の予算を用意した。まず、年間5件以上ひったくりが発生した地域に防犯カメラを設置する。各自治体にカメラ1台あたり40万円を限度に補助。予算総額は5000万円で、県内各地に125台のカメラを配備する計画だ。
さらに自転車の荷物かごにふたをする防犯用カバーを昨年比3割増の2万枚を用意。9月から無料配布する。
市原市は12年3月末までJR五井、八幡宿、姉ケ崎の主要3駅でのパトロールと啓発活動を実施する。午後4時から深夜まで警備会社の社員計12人を毎日配置する。
ひと味違った手法で犯罪防止に取り組む自治体もある。松戸市と松戸市防犯協会連合会は、かわいい女の子のキャラクター「松宮アヤ」を作り、6月から同キャラを使った防犯PRを始めた。松宮アヤは市内在住で、夜になると「魔法少女」に変身して松戸をパトロールするという設定だ。
15日には同キャラの仮装や等身大の看板で防犯をPRし、うちわなどを配布した。市は「若者に防犯への関心を持ってもらい、防犯活動への参加を促したい」という。
1~7月の県内のひったくり件数は649件と前年同期比で半減した。県は「県警が専門チームを立ち上げるなど、捜査体制を強化したことなどが功を奏した」(環境生活部)とみている。県警は「ひったくりは夏から増える傾向にある。引き続き捜査、防犯体制は強化する」(生活安全総務課)方針だ。