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石油元売り、ガソリンなど緊急出荷 被災地へピストン輸送

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東日本巨大地震による製油所の火災や操業停止の影響で、ガソリンや軽油、灯油など石油製品の品不足が深刻化している。国内の供給能力や在庫は十分あるものの、被災地では交通網の寸断で燃料確保は緊急の課題だ。石油元売り各社は陸路と海路をフルに活用して秋田、新潟、山形、北海道などから被災地への緊急出荷を強化している。

昭和シェル石油は被災地向けの緊急出荷を地震発生直後の12日から始めた。宮城県など太平洋沿岸の貯蔵・配送拠点が操業を停止したため、秋田県や新潟県などの石油の拠点基地から配送。首都圏からタンクローリー車や配送要員など応援部隊を派遣し、被災地へのピストン輸送を繰り返している。同社は「被災地の燃料不足が解消するまで続ける」としている。

JX日鉱日石エネルギーは室蘭製油所(北海道室蘭市)から臨時輸送船で新潟県や山形県などの配送拠点に石油製品を一時運び、陸路で被災地に搬送している。出光興産も北海道製油所(同苫小牧市)から海路と陸路を使って被災地への緊急出荷を進めている。

栃木県や群馬県など北関東の内陸部への石油製品の主要な輸送手段は鉄道だが、計画停電の影響もあり、地震発生後の石油輸送ができなかった。鉄道が停電対象から除外された15日から配送が可能になった。ただ、「製油所の在庫や旅客列車とのダイヤ調整もあって出荷量は制約されている」(日本石油輸送=東京・品川)という。

首都圏でもガソリンなどの品不足が続いている。15日早朝、東京都内では「本日は休業。再開は未定です」と書いた張り紙を出す給油所が目立った。被災地に石油製品を優先的に出荷しているのに加え、製油所火災や操業停止の報道を受け、一斉に買いだめする消費者が増えたためだ。

給油所の全国団体である全国石油商業組合連合会(東京・千代田)は「被災地や消防・救助車両、バスなどの燃料供給を優先したい。首都圏では一般の消費者は、なるべく公共交通機関や自転車を使い、省エネを心がけてほしい」と訴える。

国内の石油在庫は潤沢にある。政府による民間備蓄の石油放出の決定もあり、今後、首都圏ではガソリンなどの品不足は徐々に解消する公算が大きい。

15日現在、地震の影響で稼働停止中の製油所は5カ所。JX日鉱日石エネルギー仙台製油所(仙台市、原油処理能力は日量14万5千バレル)、コスモ石油千葉製油所(千葉県市原市、同22万バレル)などで国内処理能力(同452万バレル)の2~3割を占める。

ただ、現在停止中の首都圏最大級のJX根岸製油所(横浜市、同27万バレル)は「来週の稼働再開を目指す」(JXエネルギー)としており、供給能力は大幅に改善する見込みだ。

石油連盟によると、今月5日時点のガソリン在庫量は217万キロリットルと国内消費量の2週間分前後の在庫がある。首都圏など東日本の週間消費量は約60万キロリットル、関西など西日本は約40万キロリットル。一方、週間生産量はそれぞれ約70万キロリットル、約40万キロリットルと消費量以上に生産しており、「供給能力と在庫への不安要素はない」(石油連盟)という。

ガソリンなど民間備蓄の放出決定も品不足の解消につながりそうだ。石油在庫を備蓄する大手商社の担当者は「輸送手段の問題は残るが、優先順位の高い医療機関や教育機関の要請を受ければ、いつでも販売する」と話している。

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