同志社が医大新設を検討 79年以来、認可は不透明
被災地含む自治体から打診
学校法人同志社は30日、医科大学を設置する方針を発表した。政府は医大や医学部の新設を認めていないが、東日本大震災の被災地を含む地方自治体から打診があることなどを受け、学内に「医科大学(医学部)設置基本計画検討チーム」を設置、年内に初会合を開く。同日の記者会見で八田英二理事長(同志社大学学長)は「病院経営などで自治体の協力が得られれば」と期待を示した。
同志社大の検討チームは検討する課題として(1)連携する地方自治体の特定(2)病院の管理・運営形態と施設や設備の整備計画(3)財政負担――などを挙げた。新設解禁となった場合は「医師不足や偏在が深刻な東日本地域の自治体と連携した大学への設置認可の可能性が高い」と分析している。
八田理事長は「医学部開設は創立者、新島襄の悲願」としたうえで「京都以外に置くとなれば、同大医学部ではなく(別個の)医大にした方がいいかもしれない」などと語った。
医学部の新設は1979年の琉球大を最後に認められていない。医師数増を掲げた民主党政権になり、文部科学省は2010年に新設の是非を検討する有識者会議を設けたが、昨年12月にまとめた報告書では賛否両論を併記し方向性は示さなかった。新設が認められるかは不透明だ。
地方で深刻化する医師不足や高齢化の進展を見越して新設を求める意見がある一方、人口減で将来は医師数が過剰になるとの予測から反対する声も根強い。
国際医療福祉大(栃木県大田原市)や東北福祉大(仙台市)など、既に新設方針を掲げる大学もある。同志社には北海道函館市をはじめおよそ10の自治体から「連携して医学部を開設したい」といった打診や問い合わせがあるという。知名度がある同志社大が名乗りを上げたことで、新設の是非を巡る議論が活発になる可能性もある。