3人の死刑を執行 奈良女児殺害の小林死刑囚ら
法務省は21日、死刑囚3人の死刑を執行したと発表した。民主党政権下の2012年9月、2人に執行して以来、5カ月弱ぶり。執行されたのは小林薫死刑囚(44)=大阪拘置所、金川真大死刑囚(29)=東京拘置所、武藤(現姓加納)恵喜死刑囚(62)=名古屋拘置所。昨年12月の政権交代で自民党の谷垣禎一法相が就任してから初の執行となった。
未執行の確定死刑囚は今月20日時点で計137人に上り、同省に統計が残る1949年以降、最多を記録。3人の執行後も134人と依然、過去最多の水準にある。
谷垣法相は執行後の記者会見で「いずれも身勝手な理由で人命を奪った極めて残忍な事案。慎重な検討を加え執行を命令した」と述べた。「法律は(確定後)6カ月以内の執行を定めている。その精神を無視するわけにいかない」と強調した。
確定判決などによると、小林死刑囚は04年11月、奈良市内で当時7歳の女児を車に乗せ、自宅で殺害。遺体を奈良県平群町の側溝内に放置するなどした。殺人やわいせつ目的誘拐など8つの罪に問われ、06年9月に奈良地裁が死刑判決を言い渡した。控訴したが、その後に取り下げて確定。08年12月には再審請求を申し立てたが、09年12月、最高裁が特別抗告を棄却した。
金川死刑囚は08年3月、茨城県土浦市の民家で男性(当時72)を刃物で刺して殺害。指名手配中の同月、同市のJR荒川沖駅で通行人の男性1人を殺したほか、7人に重軽傷を負わせた。09年12月に水戸地裁が死刑判決を下し、金川死刑囚がその後の控訴を取り下げたため、10年1月に確定した。確定から3年余りの執行で、「過去10年の平均よりも2年以上短い期間での執行」(同省)となった。
武藤死刑囚は02年3月、名古屋市中区栄のスナック店内でスナック経営者の女性を絞殺し、現金を奪うなどした。一審判決は無期懲役としたが、二審は死刑を言い渡し、07年3月に最高裁が武藤死刑囚の上告を棄却、確定した。
最高裁は被害者数などを死刑の選択基準としているが、被害者が1人の小林死刑囚らの事件でも刑が執行された。
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日本弁護士連合会の山岸憲司会長は「自民党政権の復活後初めて、かつ3人もの死刑執行という極めて遺憾な事態。強く抗議する」との声明を出した。