電子書籍に「出版権」、14年法改正めざす 文化審小委報告
文化審議会の小委員会は20日、現行法で紙の書籍のみを対象にしている「出版権」を電子書籍にも認めるよう求める最終報告書をまとめた。インターネット上で電子書籍の海賊版が出回った場合、出版社も裁判で差し止めを請求できるようにする。文化庁は最終報告を踏まえ、来年の通常国会への著作権法改正案提出を目指す。
最終報告書は出版権を既存の出版社だけでなく、電子書籍の出版を引き受ける業者に幅広く認めることを求めており、市場拡大と海賊版の抑止効果が期待されている。
電子書籍の出版権を巡っては、出版社側が現行の出版権を電子書籍にも及ぶようにする「出版権の拡張」を主張。一方、経団連などは出版社以外の業者の参入を促すため、紙の出版権とは別に「電子出版権」を新設するよう求めていた。
最終報告書はいずれの案も、紙と電子のそれぞれについて、作者らと出版権の独占契約を結ぶ必要があり、法的な効果に差異は特段ないと指摘。著作権法改正案の条文の構成は文化庁の判断に委ねた。
また、雑誌の連載漫画などが複写されてネットに出回る被害が相次いでいることから、雑誌に掲載される著作物についても、紙と電子両方の出版権が設定できるようにすることを求めている。