台風で放射性物質流入か 福島第1、排水溝の濃度が急上昇
東京電力は17日、福島第1原子力発電所の港湾外の外洋に直接つながる排水溝の水から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり最大2300ベクレルの濃度で検出されたと発表した。水は台風26号で大雨が降った16日に採取。15日までに採取した水に比べ、濃度が急上昇した。
ベータ線を出す放射性物質の半分を占めるストロンチウム90の法定基準は30ベクレル。排水溝を通じ外洋に流出したとみられるが、政府・東電は海水で希釈されるため環境への影響はないとしている。
東電は「原発事故での地表面への降下や地上タンクからの汚染水漏えいで、土壌に付着した放射性物質が雨水で排水溝に流入したことが原因とみられる」と説明。16日に一部の地上タンク群のせきから排出した雨水は濃度が低いため、影響していないとの見方を示した。
海に接する排水溝出口まで約150メートルの測定地点では1400ベクレルだった。同地点の15日採取分は19ベクレルだった。
また、17日朝、海洋流出を防ぐために1、2号機の東側護岸の「ウェルポイント」という設備でくみ上げた汚染水が、一時貯留用の小型タンクからあふれた。水があふれても井戸に戻る仕組みになっており、海洋流出はないという。〔共同〕