オリンパス菊川前社長ら逮捕 証券OB含む7人
虚偽記載の疑い
オリンパスの粉飾決算事件で、東京地検特捜部と警視庁捜査2課は16日午前、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)などの疑いで、同社前社長の菊川剛容疑者(70)ら旧経営陣3人と、投資関連会社社長、横尾宣政容疑者(57)ら指南役とされる4人を逮捕、旧経営陣宅などの家宅捜索に乗り出した。日本の証券市場に深刻な不信を招いた事件は、証券取引等監視委員会も加えた合同捜査で、実態解明へのヤマ場を迎えた。
特捜部が逮捕したのは、菊川前社長のほか、オリンパス前副社長、森久志容疑者(54)と前監査役の山田秀雄容疑者(67)、元証券会社取締役、中川昭夫容疑者(61)。一方、警視庁は横尾社長と投資関連会社取締役、羽田拓容疑者(48)、元同社取締役、小野裕史容疑者(50)を逮捕した。
菊川前社長らの逮捕容疑は、2007年3月期~08年3月期、損失を抱えたオリンパスが保有する金融商品を簿外処理するとともに、損失穴埋めに利用した買収先企業ののれん代(買収価格と買収される企業の純資産の差額)を架空計上するなどの方法で、両期の純資産額をそれぞれ約1100億円ずつ過大に計上した疑い。
オリンパスが設置した第三者委員会の調査結果によると、同社は1999年3月期から、財テクの失敗で膨らんだ損失1000億円弱を海外の投資ファンドに移す「飛ばし」を実行。簿外に移した損失は国内3社の巨額の買収資金や、英医療機器メーカーの買収に伴うフィナンシャルアドバイザー(FA)への報酬などを利用し、08年3月期~11年3月期にかけて穴埋めしたとされる。
関係者の話では、横尾社長は証券会社時代からオリンパスとの取引を通じて山田前監査役と親交があり、損失隠しに使われたファンドの設立や資金運用に関与。国内3社の買収を利用した損失穴埋め工作にも協力したという。
一連の経理操作の過程で、横尾社長と中川元取締役らには数十億円規模の資金がオリンパスから流れているとみられ、特捜部などは不正経理に関与した見返りだった疑いもあるとみて調べを進めるもようだ。
これまでの特捜部による任意の事情聴取に、菊川前社長は「損失隠しについて報告を受け、了承していた」などと説明したとみられる。森前副社長と山田前監査役は、菊川前社長を含めた旧経営陣3人の虚偽記載への関与を認めているという。
オリンパスは16日、「事態を重く受け止めている。事実の解明のため、捜査当局に対して引き続き全面的に協力する」とのコメントを出した。
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