共謀罪の新設、政府が検討 実行行為なくても処罰
組織犯罪処罰法改正案、14年提出へ
政府は、殺人などの重大犯罪で実行行為がなくても謀議に加われば処罰対象となる「共謀罪」新設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を来年の通常国会に提出する方向で検討に入った。政府関係者が11日明らかにした。政府は2020年東京五輪開催に向けてテロ対策を強化する必要性が高まったと判断している。
改正案は、4年以上の懲役・禁錮に当たる罪を対象とする方向。殺人罪や強盗罪など重大犯罪の実行行為がなくても合意だけで処罰可能となる。
共謀罪をめぐっては、国連が00年11月、国際テロの不安が広がっていることを背景に「国際組織犯罪防止条約」を採択し、参加国に共謀罪の創設を求めた。
日本政府は同年12月、条約に署名。法務省は改正案の目的として、暴力団による組織的殺人や悪徳商法グループの組織的詐欺など、犯罪集団による重大犯罪の取り締まりを挙げている。
政府は03年以降、数回にわたり改正案を国会提出したが、日弁連や野党が「市民活動や組合活動などにも拡大解釈されかねない」と強く反対し、廃案と継続審議を繰り返した。第1次安倍政権でも成立を目指していた。
先の臨時国会で成立した特定秘密保護法には、実際に犯罪行為をする前でも、謀議に加わった段階で処罰対象とすることが規定されている。
これに関連して、菅義偉官房長官は11日午前の記者会見で「政府としてはまだ何も決めていない」と述べた。〔共同〕