新型インフル特措法案を閣議決定 施設使用制限要請可能に
政府は9日、毒性や感染力が強い新型インフルエンザ対策を定める「新型インフルエンザ対策特別措置法案」を閣議決定した。政府は緊急事態を宣言して流行拡大を防ぐための外出自粛の協力要請や、学校や社会福祉施設、運動施設など興行場などの使用制限を要請・指示できるが、罰則規定は設けなかった。ワクチンの予防接種を受けることは強制とせずに努力義務とした。
政府は現在、施設の運営者に対する活動自粛要請などを盛り込んだ「新型インフルエンザ対策行動計画」を策定しているが法的な裏付けがないため、特措法で権限を明確にする。今国会に提出して成立を目指す。
ワクチン接種は医療関係者や対策に従事する公務員などに対して「特定接種」として優先接種する。一般住民に対してはワクチンの生産量に限界があるため、ウイルスの特性に応じて政府が優先順位を決めて公費で順次接種する体制を整える。
行政の権限をより強める罰則規定は(1)必要な医薬品や食品などを確保するための保管命令に業者など所有者が従わなかった(2)医薬品や食品などの保管場所への立ち入り検査を拒んだ(3)臨時の医療施設を開設するための施設や土地などへの立ち入り検査を所有者が拒んだ――の3つのケースで、罰金30万円以下などにとどめた。