小沢氏を強制起訴へ 検察審が議決、政権運営に影響
民主党の小沢一郎元幹事長(68)の資金管理団体「陸山会」による土地購入を巡る事件で、東京第5検察審査会は4日までに、東京地検特捜部が2度にわたり不起訴処分とした2004~05年分の政治資金規正法違反容疑について、小沢氏を「起訴すべきだ」とする2回目の議決をした。小沢氏は、東京地裁が指定する検察官役の弁護士により、同法違反(虚偽記入)罪で強制的に起訴される。

起訴議決は、市民から無作為に選ばれた審査員11人のうち8人以上が賛成した。検察審の権限を強化した昨年5月の改正検察審査会法施行以降、国会議員が強制起訴されるのは初めてとなる。政権与党の実力者が刑事責任を問われる事態で「政治とカネ」を巡る議論が再燃するのは必至で、菅直人首相の政権運営にも影響を及ぼしそうだ。
小沢氏はこれまでの特捜部の事情聴取や記者会見で、一貫して虚偽記入への関与を否定している。既に同罪で起訴されている衆院議員、石川知裕被告(37)ら元秘書3人も、東京地裁の公判前整理手続きで無罪を主張しており、今後の公判で争うとみられる。
同事件では、特捜部が今年2月、規正法違反容疑で告発されていた小沢氏を嫌疑不十分で不起訴処分としたのに対し、東京第5検察審は4月、審査員11人の全員一致で「起訴相当」と議決。石川議員の「政治資金収支報告書の提出前に小沢氏に説明し、了承を得た」とする供述などを証拠として「小沢氏と元秘書の共謀を認定できる」と指摘した。
これを受け、特捜部は再捜査を開始。小沢氏や元秘書3人を改めて任意で事情聴取したが、5月21日、小沢氏を再び不起訴としたため、同検察審が再審査。小沢氏は関与を否定する上申書を同検察審に提出していた。

小沢氏は07年分の虚偽記入容疑でも告発され、東京第1検察審が「不起訴不当」と議決したが、特捜部は9月30日に改めて不起訴処分とし、確定した。
石川議員ら3人は、陸山会が2004年に購入した東京都世田谷区の土地の代金に充てた小沢氏からの借入金4億円を同年の収支報告書に記載しなかったなどとして、規正法違反(虚偽記入)罪で起訴されている。
昨年5月施行の改正法で、検察審の再審査による起訴議決は拘束力を持つことになった。強制起訴されるのは、兵庫県明石市歩道橋事故の元同県警明石署副署長や、JR福知山線脱線事故のJR西日本歴代3社長らに次いで4件目となる。
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