関越道バス事故の運行会社、30~40の法令違反か
群馬県藤岡市の関越自動車道の高速ツアーバス事故で、バスの運行会社「陸援隊」(千葉県印西市)が、道路運送法上で定められたバスの定期点検や整備でも法令違反の疑いがあることが4日、国土交通省への取材でわかった。運行管理上の問題と合わせて法令違反は計30~40に上るとみられ、同省は法令違反の常態化が事故の背景にあるとみて詳しく調べる。
事業用のバスは、3カ月に1回、車体やブレーキペダル、クラッチなど重要な箇所に異常がないか点検整備することが法令で定められており、年に1回はより詳細な点検整備と車検の更新が義務付けられている。これらの結果を記録、保存する必要もある。
陸援隊は19台のバスを所有しており、専門業者への依頼のほか自社で点検整備することもあった。国交省はこのうち同社の点検整備分で不備があったと判断。乗客から「シートベルトが壊れていた」という指摘があったように、必要な箇所の点検整備がなされていなかったとみている。
同社では国家資格などを取得したうえで運行管理と車両点検整備の責任者を針生裕美秀社長(55)が兼務しており、これらの業務を補助する職員も置いていなかった。このこと自体に違法性はなく、同様の形態をとっている企業もあるが、「19台もの車両を保有する会社としては異例」(同省担当者)。針生社長は同省の監査に対し、運行管理や車両点検整備に関する違反を認めているといい、実質的に責任者不在の状況に陥っていた。
今回の事故ではツアーを企画した旅行業者の「ハーヴェストホールディングス」(大阪府豊中市)と陸援隊の間に2業者が介在し、相場より安い料金でツアーの運行を受託していた事実も判明。こうした発注の横行がバス事業者をコスト削減に追い立て、責任者を十分に配置できなかった可能性もある。