高齢者「迂回路つくんべ」 大雨で先月孤立の山形・西川町
記録的な大雨により7月、一時孤立状態に陥った山形県西川町の小山地区で、ほとんどが70~80代の住民が、行政に頼らず再発防止や災害対応に奮闘している。迂回路造りや用水路の土砂除去……。「できることは自分たちで」。協力して乗り越えようとしている。
「いつまで続くか分かんないから迂回路つくんべ」。町中心部などにつながる県道が土砂でふさがり、小山地区が孤立した7月18日。たたきつける雨の中、壊れた橋や貯水池を見てきた渋谷泰治さん(79)や区長らが話し合った。
翌19日朝、使われていない林道約4キロを迂回路として整備しようと、男性約20人が伸び切った草木を刈り取り、倒木を取り除いた。
約20世帯40人が暮らす山あいの小山地区。100世帯ほどいた時期もあったが過疎が進み、小学校も廃校になった。
渋谷雄三郎さん(65)は「陸の孤島になって『役場にばかり頼っていられない』と上の人が言い出した。自分のような『若者』が頑張らないと」と話す。
迂回路を確保し、県道はその後開通したが、今も用水路に流れ込んだ大量の土砂の除去に追われる。「高齢者ばかりで土砂の撤去は大変。でも農業や飲み水に困っているから」と渋谷泰治さん。
西川町の担当者は「自発的な動きは町としても助かる。もともと水や林道などを共同で管理する習慣があり、災害で再認識したのではないか」と話している。〔共同〕