東南ア向けビザ緩和検討 国交相、観光集客狙う
政府は23日の競争力会議で、東南アジア向け査証(ビザ)の発給要件の緩和を検討することを決めた。ビザ緩和の対象になるとみられるのは発給要件が厳しいタイやマレーシア、ベトナムだ。タイの場合、韓国への短期滞在ではビザが不要。発給要件の厳しさが日本の観光客誘致の障害になっているとの見方が出ていた。
日本に来やすくすることで訪日外国人の数を早期に2000万人まで拡大する計画だ。
競争力会議は23日で主な論点の議論が一巡し、次回の会議からは成長戦略の取りまとめに入る。成長戦略は新産業の創造、日本の産業・雇用の再生、企業の海外進出を促す国際展開の3本柱となる見通しだ。
新産業の中核となるのは医療だ。政府は23日、複数の省庁にまたがる医療分野の研究開発の司令塔「日本版NIH」に研究予算を一元化し、推進本部を安倍首相ら閣僚でつくることを決めた。輸出拡大を担う組織のMEJも同日付で立ち上げた。
産業再生に向けては特区制度を活用する。首相主導で特区を選んで規制緩和や税制優遇を進めることで、国内外の有力企業を誘致。雇用や消費を盛り上げるほか、優秀な人材を呼び込む。
安倍首相は23日の競争力会議で「産業競争力会議は改革の先頭に立って、相当の摩擦熱を突破していく覚悟で進んでいきたい」と意気込みを述べた。雇用分野で後退した政府が、他の分野でどこまで思い切った改革を打ち出せるかが成長戦略の真価を決めることになりそうだ。