米国が主導する世界株高 独英も最高値目前
【ニューヨーク=川上穣】日米欧の金融緩和が押し出すマネーが世界の株式市場に向かう中、米国株が主要国の株高を引っ張る構図が際立ってきた。ダウ工業株30種平均は5日に5年5カ月ぶりに過去最高値を付け、先進国で唯一、金融危機前の記録を更新した。欧州ではドイツも2007年7月の最高値まであと約2%に迫った。
「1月に株式を買い増した」。米ニューメキシコ州に住むケルシー・ケネディさん(69)は語る。運用資産の50%を現金にする安全運転だったが、米景気の回復期待から株価が堅調になったので株式の保有比率を一気に80%に高めたという。
米投資信託協会(ICI)によると、昨年まで米国株を売り越していた個人投資家が、年明けから買い越しに転じた。金融緩和による低金利の長期化に加え、米国では企業収益の拡大も続く。債券など安全資産に流れていた個人マネーが、高い投資収益が期待できる株式に戻りつつある。
ドイツや英国でも株価指数が最高値圏に接近している。ユーロ圏全体は昨年10~12月期にマイナス成長だったが、ドイツは輸出主導型の優良企業が多い。南欧のイタリアやスペインはまだ最高値の半値程度だ。
円安を背景に日経平均株価は年初から18%高と主要市場で最も好調だ。ただ、バブル全盛期の1989年12月の過去最高値の約7割安の水準にとどまっている。