カルビー、スナック菓子でシェア5割超
13年3月期、4期連続最高益へ

カルビーは30日、2013年3月期の連結純利益が前期比23%増の87億円になりそうだと発表した。4期連続の最高益で、今期2度目の上方修正になる。主力のポテトチップスに販促費を集中投入し、スナック菓子市場でのシェアが同社推計で初めて5割を超えた。野菜チップスなど高単価商品も好調で利益を押し上げた。デフレで苦しむメーカーが多いなか、メリハリを付けた価格戦略が奏功した。
同社の13年3月期は連結営業利益が29%増の158億円を見込み、従来予想を6億円上回る。経常利益、純利益のいずれの段階でも過去最高を見込む。売上高は7%増の1753億円の見通し。
けん引役はポテトチップスだ。小売店で安売りの原資となる販促費を4~12月期で187億円投入した。売上比率で14%と前の期通期を1ポイント上回る。うすしお、コンソメパンチなど定番を値下げしやすくし「割安なプライベートブランド(PB=自主企画)や他社製品との価格競争力が高まった」(同社)。
日経POS(販売時点情報管理)によると、常にスナック菓子の売り上げ上位に入るポテトチップスのうすしお味の店頭価格は昨年12月で82.7円と前年同月から4%下がった。消費者の「家飲み」志向で拡大しているおつまみの需要を低価格化で取り込んだ。
ポテトチップス以外の高価格品も強化した。野菜を素揚げしたスナック「ベジップス」は販売地域を昨年10月に全国に拡大し、今期の販売額は昨年の3倍の30億円を見込む。
値下げ原資は原料費の削減で捻出した。従来は工場ごとに購入していた原料の食物油や調味料について一括購入する方式を採用、本社内で導入を進め仕入れ値を下げている。今期は対象を子会社にも拡大し、10億円のコスト削減効果を見込む。昨年に比べた食物油や包装資材などの値下がりも追い風となる。
一方、業界2位のライバル、「湖池屋」のフレンテは13年6月期の連結最終損益がゼロになる見通しだ。25日に従来予想を2億1000万円引き下げた。カルビーの値下げ攻勢に押され、ポテトチップスの販売が落ち込んだ。
スナック菓子市場で国内シェア3分の2以上という目標に向け着々と前進するカルビーだが、国内市場は少子高齢化で縮小基調が続く。海外事業の強化が急務の課題となる。
カルビーは09年、米ペプシコと資本・業務提携した。北米でのスナック販売、ペプシコのネットワークを活用したアジア展開などを狙う。提携戦略の第1弾として今春にも米国でポテトスナック「じゃがビー」を発売する。現在4%にとどまる海外売上高比率を21年3月期までに3割に高める計画だ。
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