イオン、森トラストと連携 パルコ経営陣の刷新要求へ
パルコの提携提案拒否受け
イオンは29日、12.3%を出資するパルコの経営陣刷新へ向けて、同社筆頭株主の森トラストと連携すると発表した。5月末のパルコの株主総会で、平野秀一社長の交代や両社からの取締役派遣を共同で求める。パルコが同日、イオンが求めていた提携を拒否したため。イオンと森トラストを合わせた出資比率は45%強に上り、パルコ経営陣は厳しい状況に追い込まれている。
イオンは2月下旬、投資ファンドからパルコ株を取得し、今月、同社に33.2%を出資する森トラストと、パルコの企業統治体制について協議。24日に「企業価値や株主価値を最大化する」ため、パルコの定時株主総会で取締役選任議案に議決権を共同行使することで合意したという。
森トラストは昨年のパルコと日本政策投資銀行との資本業務提携に反発、パルコ経営陣と対立している。株主総会へ向けて経営陣の刷新を提案する準備をしており、イオンはこれに同調する。
具体的には、平野社長を解任すると同時に、イオンから松井博史執行役を会長兼最高経営責任者(CEO)として送るなど3人の取締役を派遣。森トラストからも2人の取締役をパルコへ送り込む。後任社長にはパルコの牧山浩三・専務執行役を昇格させるが、両社で事実上、パルコの支配権を握る内容となる。
イオンは今月17日、パルコに共同出店や役員派遣を柱とする提携案を提示。森トラストとの協議を受けて、25日に平野社長の解任など経営体制の大幅な見直しを追加で申し入れた。パルコは29日、社長交代のほか、買収防衛策の撤回や子会社化を視野に入れたイオンの出資比率の引き上げなどを「出資からわずかの時間で、経営の根幹に影響する提案を受けても、了承できない」(同社幹部)として拒否した。
パルコはイオンの出資比率引き上げ提案に、導入済みの買収防衛策の発動が可能か検討に入った。今後はイオン・森トラスト連合に対し委任状争奪戦などの対決姿勢を打ち出すこともできる。だが株主総会で取締役の選任には過半数の株主の賛成が必要。森トラストとイオンの持ち株比率は計45%を超えており、パルコ経営陣は厳しい戦いを強いられそうだ。