日産いわき工場、4月に一部操業 ゴーン社長「撤退せず」
日産自動車のカルロス・ゴーン社長は29日、東日本大震災で被災したいわき工場(福島県いわき市)を訪れ「4月中旬には一部操業を開始し、6月初めにはフル稼働できるだろう」との見通しを明らかにした。同工場から撤退するのではとの懸念については「その心配はない。あらゆる手段を通じていわき工場の復興に尽くす」と語った。
ゴーン社長は約1時間工場を視察し、担当者から被災状況の説明を受けた。約300人の従業員や取引メーカー社員を前に「危機をチャンスにしてほしい。今こそ日産スピリットを発揮してもらいたい」と激励した。
同工場は震災の影響で水道が不通の状態。工場内の床が陥没したり、排気口が落下したりしているが「従業員の冷静で効率的な作業で復興は確実に進んでいる」という。
いわき工場からの撤退を懸念する見方には「日産のいわき工場の復活は地域の復活にもつながる。いわき工場と地域は同じ船に乗っており、運命共同体だ」と話した。
同工場は2010年に「フーガ」や「エルグランド」など高級セダンやワゴンに搭載するエンジンを37万6千基生産。栃木工場(栃木県上三川町)や九州工場(福岡県苅田町)などから150人の支援部隊が入り、設備の復旧にあたっている。
日産の工場全体がフル稼働状態に戻る時期については「部品メーカーへの調査をさらに進めなければならず、今の段階でははっきりしたことは言えない」と明言を避けた。
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