デジカメ国内7社、世界販売3割減 13年度見通し
デジタルカメラ国内大手7社の2013年度の世界販売台数は合計で約6423万台と、前年度から29%減少する見通しだ。11月時点の予測に比べ約200万台下方修正した。業界団体は14年も市場の縮小が続くと予測する。各メーカーは品ぞろえを高級機中心にシフトしたり、国ごとのニーズに合った商品開発を進めたりして、需要の喚起を急ぐ。
デジタルカメラ国内大手7社の販売見通しを日本経済新聞社が聞き取るなどしてまとめた。国内大手7社で世界市場の8割を占める。
キヤノンの13年12月期のコンパクトカメラの世界販売は前の期比28%減。14年12月期も前期比20%減少し1050万台となる見通し。
低価格のコンパクトデジカメの需要が急減している。画質や手ぶれ補正などスマホのカメラ機能が進化。撮影後すぐに交流サイトに投稿できることからもスマホに顧客が奪われている。
カメラ映像機器工業会(CIPA)は14年のコンパクト型の世界出荷は13年比26%減の3380万台と予測しており、1億台超だったピークの08年の3割にとどまる。
13年は高額のレンズ交換式カメラも縮小。総出荷台数は12年まで右肩上がりだったが、13年は15%減と初めてマイナスとなった。14年も景気不安などから欧州や中国向けが振るわず全体で2%減ると予測する。
ニコンは世界共通の製品仕様を市場ごとに変え需要を開拓する考え。スマホが急速に普及しつつある新興国ではスマホとの連携機能を備えたレンズ交換式カメラを発売。「アプリ(応用ソフト)を提供する企業の買収や提携も積極的に進める」(伊藤純一副社長)
キヤノンはインドや東南アジアで自社製品の専門店を現在の約130店から15年までに約300店に増やす。ソニーは高性能な画像センサーを搭載したミラーレス一眼や、交換レンズを増やし上級ユーザーを取り込む。
デジカメ事業でキヤノンやニコンは黒字を維持しているが、パナソニックやオリンパスは14年3月期の事業損益が赤字となる見通し。
各社はコスト削減も進めているが、「コンパクト型の市場縮小は15年か16年まで続く」(キヤノン)との見方が多い。「業界再編など思い切った判断も必要だ」(UBS証券の桂竜輔アナリスト)との声も出ている。