トヨタ、時価総額20兆円回復 最高益の可能性織り込む
トヨタ自動車の時価総額が8日、約5年2カ月ぶりに20兆円台を回復した。1ドル=100円に迫る円安基調が続く中、輸出採算の改善などで一段の収益拡大への期待が高まっている。世界の自動車大手でも独フォルクスワーゲン(VW、約9兆2000億円)やホンダ(約7兆2000億円)に比べて突出する。
8日の時価総額は約20兆1千億円。前回、時価総額が20兆円台に乗せたのはリーマン・ショック前の08年3月で、08年3月期に営業最高益(2兆2703億円)を達成した。最高益をうかがう展開を市場が織り込み始めた可能性もある。
これまでは円高が足かせとなり、VWや韓国・現代自動車と比べトヨタ株は伸び悩む場面もあったが、ここ半年は逆にウォン高や欧州の景気低迷を背景にライバルの収益環境が悪化。北米の景気回復と円安の両方の恩恵を受けやすいトヨタへの評価が高まっている。
トヨタの今期為替レートは1ドル=90円と実勢より10円近い円高を見込んでおり、足元の円安傾向が続けば「2兆円を超える可能性が高い」(証券アナリスト)。
もっとも世界の製造業でみるとトヨタは米コカ・コーラ(約18兆円)を上回るが、米アップル(約42兆円)の半分以下。アジアの製造業でも韓国サムスン電子(約21兆円)に首位を許している。