「新宿南口」大改造 現場潜入、巨大交通ターミナル
新宿南口交通ターミナルは、3つの階層で構成されている。国道20号(甲州街道)と接し、JR新宿駅の改札や歩行者広場を設ける2階部分と、タクシー乗降場を設ける3階部分、高速バスの乗降場や待合施設を設ける4階部分だ。JR新宿駅ホームの上部で、駅施設を持つ2階部分の面積は、約1.47ha(ヘクタール)に及ぶ。
分散施設を集約
新宿駅周辺では、高速バスの発着場が広域に分散している。駅から遠い発着場も存在し、各種交通機関との乗り換えの面で利便性が良いとは言い難かった。
新設する交通ターミナルではこれらを集約。国内で最高となる15バース(荷物の積み下ろしを行ったり停泊したりする場所)を擁する高速バスターミナルとなる見込みだ。1日当たりの高速バスの発着便数は1625に達する見通しで、こちらも国内最多になるとみられている。
数多くのバスやタクシーが出入りする施設が新たに完成するので、そのアクセス箇所での渋滞や安全対策などへの懸念がある。国交省では、そのための複数の対策を講じている。一つは、国道20号と新宿南口交通ターミナルとのアクセス部分における道路施設整備だ。
国道20号、2車線から3車線へ
まずは、施設出入り口付近の国道20号において、新たに右折レーンと左折レーンを整備。施設への円滑なアクセスを狙う。一方、施設から国道20号に車が出て行く箇所では、左折用2車線と右折用1車線の合計3車線を交通ターミナル側に整備する。さらに、国道とぶつかる部分には新たに信号を設置する。
現在は片側2車線で運用している国道20号については、片側3車線に改める。また、現状の国道20号で散見されるタクシーの客待ちなどは、タクシー会社などの団体を通じた周知で改善していく。加えて国交省では、施設前の国道20号が駐停車禁止である点を踏まえ、警察と連携して車の滞留を防ぐ考えだ。
施設では、ヒートアイランド対策として、半たわみ性舗装を用いたり、屋上・壁面緑化を図ったりする。さらに、大気汚染の抑制効果を狙って光触媒を壁面などに施す計画も立てている。
現場で進む設備工事
現在は2016年春の完成に向けて、内外装の整備やエスカレーターなどの設備工事を中心に進めている。工程は順調に進行しているという。交通ターミナル部の施工は、大林組と鉄建、大成建設、大和小田急建設(現在はフジタ)のJV(共同企業体)が担当している。
駅の設備などを除いて新宿南口交通ターミナルの整備に国が投じた費用は約700億円。駅施設などについてはJR東日本が整備を進めている。
写真で見る過去と現在
(日経コンストラクション 浅野祐一)
[ケンプラッツ2015年11月5日付の記事を再構成]