英競争当局、巨大ITに包囲網 21年4月に専門組織
【ロンドン=篠崎健太】英政府は27日、巨大IT(情報技術)企業を監視・規制する専門の新組織を競争・市場庁(CMA)に設けると発表した。プラットフォーマーと呼ばれる大手の影響力が過度に増していると問題視し、是正の必要性を指摘した。データ保護当局などとも連携させて包囲網を強め、巨大ITの寡占に目を光らせる。
日本の公正取引委員会にあたるCMA内に「デジタル市場ユニット(DMU)」という組織を2021年4月に発足させる。DMUは、巨大なIT企業を対象に「公正な市場競争」の面から問題があると判断した行動の差し止めや、是正措置の命令ができる法的な権限を持つ。
新組織の監督対象について「グーグルやフェイスブックなどデジタル広告が支えるものも含むプラットフォーム」と説明し、米IT企業の一角を名指しした。「少数のテクノロジー企業への権力集中が業界の成長力をそぎ、技術革新を抑え、人々や企業に潜在的な悪影響を及ぼしているとの共通認識が英国内外が高まってきた」と断じた。
具体的な対応として、巨大IT企業にサービスや利用者データの扱いに関する透明性を高めるよう求める法的ルールを整備していく。プラットフォーマーの記事利用をめぐり、報道機関の収益機会が制約されうる状況があるとも指摘し、報道機関が正当な対価を得られるよう記事使用の契約内容も監督するという。
CMAは7月に公表したデジタル市場に関する報告書で、プラットフォーマーの寡占に懸念を示した。19年の英国のオンライン広告費140億ポンド(約1兆9300億円)のうち、約80%がグーグルとフェイスブック向けだったと指摘。英国でのグーグルの広告単価は米マイクロソフトの「Bing(ビング)」より「30~40%高い」などとも分析し、市場支配力の強さを問題視していた。
今回の監督強化策はCMAの提言を踏まえたものだ。シャーマ・ビジネス相は「消費者に選択肢を与え、小規模な事業者が排除されないようにするものだ」と強調した。
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