米大統領選、バイデン氏勝利宣言 ペンシルベニア制す
【ワシントン=永沢毅】米大統領選で民主党候補のジョー・バイデン前副大統領(77)の当選が確実となった。複数の米メディアが7日伝えた。バイデン氏は報道を受けて声明を出し「大統領に選ばれて光栄だ」と勝利宣言した。
大統領選は全米538人の選挙人の過半数270人以上の獲得を競う。米メディアによると、激戦となっていた東部ペンシルベニア州に加え、西部ネバダ州もバイデン氏が制し、当選に必要な「選挙人」の過半数を確保した。米東部時間7日午後2時半(日本時間8日午前4時半)時点でバイデン氏は279人の選挙人を得た。共和党の現職、ドナルド・トランプ大統領(74)は214人にとどまる。
勝利宣言したバイデン氏は「怒りと暴言は忘れ、国として結束するときだ」と米国民に融和を呼びかけた。7日午後8時から地元の東部デラウェア州で演説に臨む。
現職大統領が敗北すれば、1992年大統領選の共和党のブッシュ(第41代)元大統領以来。ただ、トランプ氏はバイデン氏の当選確実が伝えられた後の声明で「選挙は全く終わっていない」と敗北宣言はせず、結果を受け入れない立場を強調した。「法が順守され、正当な勝者が選ばれるよう法廷で提訴の手続きを始める」と法廷闘争を続けると強調した。
トランプ陣営は選挙に「不正」があると訴え、開票差し止めなどを求めて全米各地で訴訟をおこしている。バイデン氏の勝利が正式に確定するまで曲折を経る可能性がある。
バイデン氏は当選が確実となったのを受け、政権移行に向けた準備を加速する。4年ぶりとなる民主党の政権奪還が決まれば、バイデン氏は2021年1月の就任時に78歳と史上最高齢の米大統領に就く。副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員(56)は女性や黒人、アジア系として初の副大統領となる。
3日の大統領選は異例の大接戦となり、ペンシルベニアなど残る激戦5州が最後に勝敗のカギを握る展開となった。選挙人20人の大票田ペンシルベニアは当初、トランプ氏が先行していたが、郵便投票の開票が進むとバイデン氏が逆転した。次いで西部ネバダ州(選挙人6人)も制した。
トランプ氏は南部ノースカロライナ州で優勢を保つが、西部アリゾナ、南部ジョージア両州ではいずれもバイデン氏がリードしている。
バイデン氏の得票数は7400万票台に達し、08年大統領選のオバマ前大統領(6949万票)を超えて史上最多を更新している。一方、トランプ氏も7000万票を超えて前回を上回る票を集めた。
選挙戦では世界最多の死者を出した新型コロナウイルス対応や経済再生が焦点となった。トランプ氏は「米国第一」の継続を掲げて再選を訴えたが、バイデン氏はトランプ氏のコロナ対応などを厳しく批判。厳格な感染対策を主張した。
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