藤井棋聖が王位奪取、史上初の10代二冠 最年少八段も
将棋の高校生プロ、藤井聡太棋聖(18)は19、20の両日、福岡市で指された第61期王位戦七番勝負第4局で木村一基王位(47)を破り、4連勝で王位のタイトルを奪取して二冠となった。18歳1カ月での二冠は羽生善治九段(49)が1992年に達成した21歳11カ月を抜いて28年ぶりの最年少記録更新となり、史上初の10代での複数冠保持者となった。
棋聖とあわせて二冠となった藤井新王位は対局が終わった直後、「内容的には押されている将棋が多かった。4連勝は望外で実力以上の結果」と語った。二冠については「まだ実感はない」としつつ、「七番勝負でいい経験ができた。それを生かせるように引き続き頑張っていきたい」と話した。木村前王位は「ストレート負けは恥ずかしい限り。申し訳ない。また一から出直したい」と前を向いた。
新記録がかかる対局が始まったのは19日午前9時。木村王位の先手番で相掛かりに進んだ。端から積極的に仕掛けた木村王位に対し、藤井棋聖は激しく反発。20日朝に明らかにされた「封じ手」で、挑戦者は飛車を切って先手陣に切り込む。と金を作り「難しいですけど攻めがつながる形になった」(藤井棋聖)。力強い守りで「千駄ケ谷の受け師」の異名をとる王位も粘りを見せたが、挑戦者は正確に対応して押し切った。
藤井二冠はタイトル2期獲得の規定により、七段から八段に昇段。規定が現在と異なるものの、58年に18歳3カ月で八段となった加藤一二三九段(80)を抜き、八段昇段の最年少記録も62年ぶりに更新した。
藤井二冠は7月、最年少の17歳11カ月でタイトルを獲得し、屋敷伸之九段(48)が90年に作った18歳6カ月を30年ぶりに更新していた。2016年10月のプロ入りから4年弱で着実に実力を高め、数々の最年少記録を塗り替えている。
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加藤一二三九段の話 この先AI(人工知能)研究がいかに隆盛を誇ろうとも、藤井聡太二冠には、人間の探究心と求道心のさきにある芸術的な一手により、盤上での感動を追求し将棋界をわかせていただけることを願っております。今後ますますの目も覚めるような躍進を心より期待しております。
羽生善治九段の話 10代で複数冠を保持するのは空前絶後の大記録だと思います。一方で昨今の藤井さんの充実著しい内容を見ていると不思議ではない結果とも感じています。今後も将棋の進化のフロントランナーとして活躍されることを期待しています。
師匠・杉本昌隆八段の話 期待と予想を大きく上回る活躍には毎回驚かされます。これで複数冠タイトル保持者となりましたが、まだまだ道半ば。更なる高みに向かってどこまでも駆け上がってください。