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米GDP、コロナで過去最悪の32%減 4~6月期年率

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【ワシントン=河浪武史】米商務省が30日発表した4~6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率換算で32.9%減少した。新型コロナウイルスによる経済封鎖で、統計がある1947年以降で最大のマイナス幅となった。先行きはプラス成長に戻るものの、2020年は金融危機時を上回る景気悪化となりそうだ。

成長率は市場予測(マイナス34%程度)並みだった。マイナス成長は2四半期連続で、悪化幅は1947年以降で最大だった58年1~3月期(10.0%減)や、金融危機直後だった2008年10~12月期(8.4%減)を超えた。米議会予算局(CBO)は2020年7~9月期の成長率を年率換算でプラス21.5%と予測するが、20年通年ではマイナス5.6%と厳しく分析する。

4~6月期は項目別でみても、いずれも歴史的な落ち込みとなった。3月中旬から5月にかけて、小売店や飲食店の店内営業は全米でほぼストップし、GDPの7割を占める個人消費は前期比年率換算で34.6%減となった。1950年10~12月期の11.5%減が過去最悪だったが、今回の経済封鎖のショックは甚大だ。

自動車大手、ゼネラル・モーターズ(GM)が2カ月にわたって全米で操業を停止するなど、製造業もマヒした。貿易戦争の心理悪化が回復しないままコロナ危機が直撃し、企業の設備投資は27.0%減と、金融危機直後の2009年1~3月期(26.9%減)に匹敵する落ち込みとなった。輸出は64.1%減となり、09年1~3月期(28.6%減)を大きく上回るマイナスだ。

米国は新型コロナの感染者数が400万人を超えて世界最悪だ。20年通年の成長率は金融危機直後の09年(2.5%減)よりも大幅なマイナスとなり、第2次世界大戦の特需が消えた1946年(11.6%減)以来の大幅な悪化幅となる可能性が高い。

米経済はコロナ危機の収束が大幅に遅れ、V字回復が遠のいている。感染者が6月以降に急増した南部や西部では、一時は前年比4割減まで持ち直していた飲食店の客足が、再び6~7割減に逆戻りした。雇用も「二番底」の懸念があり、25日までの週の新規の失業保険申請数は、143万件と2週連続で前週より増えた。

コロナ危機はとりわけ低所得層に打撃が大きく、経済格差を一段と悪化させる懸念もある。米連邦準備理事会(FRB)は「年収4万ドル未満の世帯は3月に4割が失職した」と分析。調査機関オックスフォード・エコノミクスは、住宅ローンの延滞率が先行きは15%に達すると予測し、08~09年の金融危機時の10%を大きく上回るとみる。

にもかかわらず新築一戸建て住宅販売件数は6月に14%も増え、13年ぶりの高水準だ。ゼロ金利政策で住宅ローン金利は過去50年で最も低い水準となり、雇用危機の及びにくい高所得者層には住宅ブームが訪れる。所得格差は戦後最悪の水準に広がっており、コロナ危機が社会の分断を深めるリスクもある。

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