首相「速やかに追加措置」 期限待たずに解除も 緊急事態宣言31日まで延長
政府は4日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、全国を対象に緊急事態宣言の期限を6日から31日に延長すると正式決定した。安倍晋三首相は記者会見で、専門家の分析次第では期限を待たずに解除する考えを示した。予定通りに緊急事態を終えられなかったと陳謝し、追加の対策を検討すると表明した。
緊急事態宣言は改正新型インフルエンザ対策特別措置法で規定する。宣言の延長は4日に発効した。あわせて政府の新型コロナ対策の考え方を示す基本的対処方針も改定した。
首相は「現時点で感染者の減少は十分なレベルとは言えない。医療現場の逼迫した状況を改善するには1カ月程度の期間が必要だ」と説明した。
6日に宣言を終了できなかったことに関して「首相として責任を痛感している。国民におわびする。延長は断腸の思いだ」と陳謝した。
首相は延長に伴い追加対策を講じると明言した。家賃負担の軽減や雇用調整助成金の拡充、学生への支援に触れ「与党の検討を踏まえて速やかに追加的な対策を講じる」と語った。2020年度第2次補正予算案の編成も念頭にある。
与党は飲食店などテナントの家賃支援策を議論中で、7日にも具体策をまとめる。雇用調整助成金を巡り、政府は上限額を引き上げる検討に入った。親の仕送りやアルバイトの収入が途絶えた学生を救済する案がある。
全国で毎日100人を超す人が退院、回復し「その水準を下回るレベルまで新規感染者数を減らす必要がある」と指摘。「中国経由の第1波の流行を抑え込むことができた。欧米経由の第2波も感染者の増加はピークアウトし、収束への道を進んでいる」と訴えた。
14日をメドに専門家が新規感染者数や重症者向けの医療体制などを分析する。専門家の意見を基に「可能だと判断すれば期間満了を待たずに解除したい」と話した。西村康稔経済財政・再生相は4日夜の記者会見で部分解除の可能性に言及した。
首相は緊急事態の収束には有効な治療法やワクチンの確立が不可欠だと指摘した。感染の有無を確認するPCR検査については対応の遅れを認め、体制を拡充すると表明した。抗体検査を用いた疫学調査は「有意義な方法だ」と語った。
東京都など13の特定警戒都道府県は感染を防ぐため引き続き極力8割の接触削減を要請。他の34県は外出自粛や休業要請の一部緩和を検討する。
商店や飲食店の営業、文化施設などは感染防止策を講じれば一部で再開を認める。2週間後をメドに感染予防のガイドラインを策定する。
政府は4月7日に7都府県を対象に緊急事態宣言を発令し、16日には対象を全国に広げた。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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